教育コラム

　12月20日に吹田市北千里でわくわく子ども学校の辻校長が講演をされました。内容は、「子どもの自立心を育てる教育」でした。子供連れの方から年配の方まで幅広い層の人たちが講演に参加されていました。わくわく子ども学校での事例を出しながらの話でした。
　トマス・ゴードンの「親業」を主とした子供への接し方や発達段階における子供の様子などの話もありました。特に、トマス・ゴードンの「親業」はわくわく子ども学校でも子供との接する際に取り入れている技法と言いますか、手法です。親業について話をしだすと長くなるので、機会を別に譲ります。この親業に関しては、僕自身学習中でしてわからないところもあります。また、この考えに関して100％諸手を挙げて賛成と言える手法なのかも疑問を持っていますので、考察に関しては機会を別に譲ります。
　さて、講演会での主要なテーマであった「子どもの自立心」についてです。このことについて僕なりに考えたことをここに記してみます。どのような状態を「自立した状態」と言えるのかということを考えたときに、ある考え方では、各年齢段階に於いて自立の仕方があって、それが変化するという見方もあるでしょう。しかし、それは自立ではなくって、自立に向けての変化であると僕は思っています。僕の嫌いな言葉ですが、「大人」になったということが、「自立した」ことになるのでしょう。ここで疑問が出てきます。自立した「状態」と自立した「心」は同一のものか？それとも否か？です。自立した「心」を持たないで、自立した「状態」はないと思います。しかし、自立した「状態」ではないが、自立した「心」をもっている場合は成り立つと思います。この「心」というものはやっかいなもので、外からはなかなか判断しにくいものです。他者が自立心を持っている、または持っていない、とはどのように判断するのか、その判断次第では相手に大きな傷を与えかねないでしょう。
　あるひとつの行動を取りあげて、自立心が養われている、またはいない、と判断するのは簡単なようで難しいのです。例えば、一人でトイレにいけるようになった、一人で着替えをできるようになった、というようなことは別に「育てる」ことを意識的にせずともある程度は、本人がするようになります。人によっては、時間的な差がでてくることがあるでしょうが、一般論的に言えばできるようになります。 　自分で判断するということに視点を当ててみましょう。このことは逆説的に考えてみるとわかりやすいと思います。全く自身の判断を持たない人間がどれほどいるのか？ということから考えると人は大なり小なり、多かれ少なかれ、自分で判断をしています。その結果を人の責任になすりつけるか否かは「自立」ではなく道徳上の問題ですから、ここでは取りあげる必要はないでしょう。
　人の内面はそう簡単には判断することができません。子供がとったある行動一つを取りあげてあれこれと考えるのが、大人的な思考であって、それが意味を持つのか否か、それがメッセージなのか否かは発している本人もわかっていないときもあります。内面については推測することはできてもそれ以上のことはできないと思います。児童心理や教育心理なんていう分野がありますが、あれらは一種の統計的なものから導いているのであって、必ずしも「当たる」ということではないのです。人の内面が「わかる」、子供のことが「わかる」というのは、わかったつもりになっているだけであって、本当に理解できているのかはわからないと思います。
　そこで、話を戻しましょう。自立心というのは、ついているようでついていないし、育つようで育たない、わかるようでわからないものだと思います。人の心はある条件に対して必ず反応するわけではありません。条件に対して結果が同一ではないのです。だからこそ自立心を育てることは難しいのでしょう。
　自立心を責任をとる姿勢と解釈すれば、その教育方法も内容もわかりやすくなります。今の日本に必要なことは責任をとる心ではないでしょうか？それは子供だけの問題ではありません。大人も同じだと思いますが…。

　たまたま教育問題研究所と大げさな看板を掲げて、僕なりに「教育」特に「学校教育」に関する情報を集めています。かれこれ2年が経とうとしています。現場にいたときからある程度、気になる情報は集めていました。そして、学力に関することが忘れた頃にメディアを通じて記事として発信されているのではないか、と疑問をもつようになりました。あまのじゃくな僕のことですから、うがちすぎなのかもしれませんが、教育業界がお客さんを集めようとし出しているときに「学力」に関する話題が提供されているような気がしてなりません。夜中に時事通信から「日本の理数、3〜5位＝小中の学力低下に歯止め−「意欲で課題」・07年国際調査」という見出しの記事が配信されていました。このことをどう捉えたらいいのか自称専門家も意見がわかれていると思います。
　記事をいつものように、まずみてみましょう。

　文部科学省は10日付で、小学4年と中学2年を対象にした2007年の国際数学・理科教育動向調査の結果を公表した。03年の前回調査に比べ日本の平均得点はおおむね上昇。参加国が増える中、各教科の国際順位は3〜5位で上位を維持した。
　同省は「学力の低下傾向に歯止めが掛かった。学習意欲では依然課題が多いが、一部で改善も見られた」と分析した。前回調査や03、06年の経済協力開発機構（OECD）の調査では日本の学力低下が指摘され、同省は今年3月改定の小中の新学習指導要領で理数の授業時間を拡大した。

　さらに、毎日新聞社提供で「国際数学・理科教育動向調査の日本の成績」がグラフで提示されていました。このような発想は僕には偏差値教育を彷彿とさせましたし、このような報道といいますか、情報の伝え方には問題があるのではないかと思いました。内容ではなく、順位にこだわりすぎているのではないかと思えるのです。なぜ、そこまでして順位にこだわるのか？世界で常に1番がいいというわけでもなく、1番をキープしているから偉いわけでも何でもないでしょう。各地域によって考え方や教育の方法、さらには教育に関しての考え方が異なっています。それを同一線上に全て並べて、日本の子供は云々と議論したところで仕方がないと思います。そこまでして順位にこだわる必要がどこまであるのでしょうか？世界には200ヶ国以上国が存在しているのに、その順位が2位だの5位だのとこだわることの意義を僕には見いだせません。
　単純に順位が下がったから理系離れが起きているからとから、子供たちは理科の教科などに興味を持っていないとか、耳にする機会がありました。これらの意見はあまりにも短絡過ぎると僕は思っています。本当に理系離れが進んでいるのであれば、医学部の進学が極端に落ちているのでしょうか？そうではないと思います。単純に理系と決めてしまうのも問題があると思いますが、日本の大学で物理学を学んだとしてもそれを受け入れられるだけのものが社会にはないと思っています。生徒たちは実利のある方を選択しているだけのように思えます。数物理学を選択しても……むしろ経済学や法学に行った方が就職が…、という声を聞いたことがあります。これが現実だと思います。あまりにも単純な、短絡な結論への結びつけは現状を見誤る可能性が高いと思います。
　話を記事に戻しましょう。時事通信社の記事中に「日本の学力低下が指摘され」とありますが、誰によって指摘されたのでしょうか？少なくとも僕はしてませんから僕ではないのでしょう。いったいどのような人が指摘をしたのか気になります。「学力低下」をバカみたいに、必要以上に煽っておいて、「国民が」というほどメディアの人間はアホではないと思いますので、誰なのか気になるところです。数字の増減で一喜一憂する必要はないでしょう。
　ここまで「学力」にこだわらなくてもいいのに、と思うのですが、教育を食い物にしている連中からは、「学力」を煽るだけ煽る方がいいのでしょうねえ。教育産業だけでなく、いいっぱなしのマス・メディアの連中も含めて、もう少し冷静というよりも、良識ある判断をしてほしいと思っています。

　教育行政の話が多くて雰囲気が堅いので、時には息を抜いたような話をしましょう。今、僕が勤めている学校でのことです。僕が勤めている学校では、子供たちが自分たちで学習計画をたててそれを実行していきます。算数で割り算が必要な子は自分で割り算をどのようにすすめていくのかを決めて学習をしていきます。「学校」で行う教科書中心の授業ではなかなかできないようなこともできるので、僕としてはその点を楽しんでます。
　算数の時間にふとしたことから、「丸と同じ面積の四角を書くことができるのか？」ということに取り組むことになりました。小学校1年から3年生までがいるクラスです。かけ算や割り算をしている子はいても、面積を求める方法は知りません。さらに面積とは何なのかも知らない子がほとんどでした。子供たちが知っていることといえば、四角い図形と丸い図形というぐらいです。僕が何気なしに発した「同じ大きさってかけるんやろうか？」がきっかけとなり、一瞬子供たちは考えるために静かになりました。そして、「大きさってなんや！」「面積ってなんや！」「面積ってどうやってわかんねん！」などなどいろいろ意見が飛び出しました。
　まず、全員に面積とは何かを説明します。そして、面積の求め方をかけ算に取り組んでいる子たちに説明します。するとそれだけで後は子供同士で議論を展開していきます。「同じ面積になる」という子、「ならない」という子、それぞれがそれぞれの意見や考えを主張していきます。ここでは、1年生でかけ算ができなこでも議論に参加できます。別に面積を求める問題を解いているのではありませんから。あくまでも問題は、「円と同じ面積の四角形を書くことができるのか？」ということですから。
　ある子が円の面積を求める時に用いる円周率に着目します。そして、「同じ面積にはならない」と主張します。ある子は、「円周率とおなじものをつかったら書ける」という主張をします。最後には、僕にどちらが正しいのか答えを求めてきました。最初から答えをしますというよりも、双方の意見をまとめつつ、こちらがヒントを与えて子供たちに考えさせる、というスタイルをとりました。見方によっては誘導と捉えられますが…。
　最終的は、子供たちがたどり着いた答えは、同じ面積のものは書くことができない、ということでした。

　僕は子供たちの様子を見ていると、小学校の時に身につけるべき内容とはいったい何なのかと考えることが多々あります。特に低学年では。算数の分野で言えばたし引き掛け割りの四則計算ができればいいと思います。後は発展、応用の形ですから。2年生でもチョットしたきっかけを与えたら面積を求めることができます。そして、興味を持った状態ならなおさら、解こうという姿勢を示します。興味をもてばおもしろいほどに子供たちは吸収していくものです。余談となりますが、僕の担当しているクラスでは恐竜をテーマにしていますが、恐竜に関しては、かなりの知識をもっていると思います。一種マニアの域にまで達しているかのような感じすらします。恐竜の名前だけ覚えてるだけやろ？恐竜キングの内容やろ？と思われる方もいるかもしれませんが、そうではありません。竜盤目がなぜこのような呼び方をされるのか？竜盤目とはなんなのか？などなど子供なりに説明してくれます。

　11月8日に産経新聞社が「橋下知事、公立小中に塾講師派遣の考え示す」という見出しで記事の記事を掲載していました。この見出しだけでどのような内容の記事かはあらかた想像はつくと思いますが、念のために記事を掲載しておきます。

　大阪府の橋下徹知事は８日、東京都杉並区立和田中学校の特別授業「夜スペシャル」に講師を派遣している大手進学塾「ＳＡＰＩＸ（サピックス）」（東京）を、来年度にも府内の公立小中学校の学習指導に参入させる考えを示した。ただ、府教育委員会は慎重姿勢を示しているといい、橋下知事は「何とかやれる方向で（府教委の）事務局を動かしていきたい」と話した。
　府公館（大阪市中央区）で開いた公立小学校の保護者や教員らと意見を交わすイベントの後、報道陣の取材に対し明らかにした。
　知事の説明によると、府と府教委の特別顧問を兼任する和田中の藤原和博前校長が、ＳＡＰＩＸなどの受験業者に教育施策への協力を打診、業者側も前向きな姿勢を示しているという。
　橋下知事は「事務局はできない理由を挙げることしかしない。せっかく大阪の改革に乗り出してくれると言っているのに、（全国学力テストの市町村別データ公表要請の際と同様）また拒否だ」と府教委を批判。
　業者参入の時期については「平成２１年度からやらなくてどうするんだ」としたが、「どのようなかかわり方をしてもらうかはまだ分からない」と述べた。

　橋下知事はすばらしい業者と出会ったんでしょう。なにしろ「大阪の改革に乗り出してくれる」業者さんなのですから。学校の校舎を利用した塾をＳＡＰＩＸは東京だけでなく大阪でも展開したいんでしょうねえ。そして、「大阪の改革に乗り出」すのですからたいした企業です。こんな立派な企業が大阪にもあればいいなあ、と僕は思います。行政と癒着することによって、利益をたたき出し、塾付けの子供達を排出して「大阪の改革」に手を出すというのですから。大阪の何の改革にＳＡＰＩＸは乗り出そうというのでしょうか？橋下知事はどのような「改革」を期待しているのでしょうか？メディアに取りあげられている人間を顧問として、はやりの方法でセンセーショナル的に、ビジュアル的に「何かをしている」ことをマス・メディアを通じて、マスターベーションでもしたいのでしょうか？僕にはわかりません。教育という視点から言えば、はっきりと言えばいいんです。「教育委員会をなくすこと」が改革であると。もっと言えば、文科省をなくせ、と。
　閉塞的な組織と社会を持つ教育委員会と教職員に問題が大いにあると思いますが、未来ある子供達を教育産業に引き込むようなことはしてほしくありません。教育産業の被害者は子供達となりますし、永い視野でみれば、将来の社会に禍根を残すことにもなりかねません。橋下知事は偏差値偏重主義時代の申し子ですから仕方がないと言えば仕方がないのかもしれませんが、人間は全て数値で計れるものではありません、数値にそれほど躍起になる必要もないと思います。今、子供達に必要なものは「塾」ではありません。子供達に示すことができる大人の態度であり、責任ある社会を示すことだと思います。
　もう一つ記事を見て頂きましょう。『毎日新聞』の記事です。産経新聞とは報じている内容は同じように見えますが、微妙に異なります。

　大阪府の橋下徹知事は８日、府教委特別顧問の藤原和博氏が提案した進学塾講師を放課後学習に招く構想に、府教委が難色を示していることを明らかにした。藤原氏は主張が受け入れられない場合は特別顧問の辞任をほのめかしているという。橋下知事が掲げる「教育改革」のアドバイス役だが、不協和音が表面化した格好だ。
　橋下知事は「前向きな姿勢がみえない」と、府教委を批判している。橋下知事や府教委によると、藤原氏は今月、進学塾「サピックス」や、家庭教師派遣業「トライグループ」の講師を放課後学習に招くことや、来年度から小中学校に民間人校長を導入するよう提案。これに対して府教委が「教育委員に諮る時間が欲しい」と回答したことについて、藤原氏が消極的と受け止めたという。藤原氏は東京都杉並区立和田中の校長時代に同中に開設した夜間の有料授業「夜スペシャル」に、サピックスから講師を招いていた。藤原氏は今年８月、橋下知事の政策アドバイザーに就任、10月から府教委特別顧問に就いている。

　産経新聞では出ていなかった人物の名が出ていますね。和田中のそして東京の期待の星、藤原氏です。毎日新聞の報じ方からでは、橋下知事の考えというよりも、藤原さんの入れ知恵のような感じがしなくはないです。この記事からでは、教育界に教育産業の参入は時間の問題であり、教育産業の利権拡大に拍車をかけることも時間の問題でしょう。導入の仕方は脅迫的であり、藤原さんは自分の意見が通らないと辞めるという姿勢だそうです。どれほどの利権があるのやら…。学校教育に塾を参入させることが特別顧問を辞するほどの価値を持っているとは僕には思えません。個人の価値観の問題ですから、どうのこうのと言うつもりはありませんが、何故そこまでして教育産業を、教育利権を求めるのか、理由を「引き上げ」などといっていますが、これは理由としては成り立っていないと思います。成績のいい子が成績の悪い子を教えるようになる、といっているそうですが、必ずしもそうなるとは限りませんし、デメリットの側面が出てくる可能性もあります。
　このあたりのことについては、以前より言ってきましたし、今度に譲りたいと思います。「学校とは何か？」を問うこと、公立学校の義務とは何か、なども含めて考えていくことが必要です。短絡、安直に教育産業と利権を譲ることで問題の本質が解決するとは全く思えません。教育利権はどこまで拡がりをみせるのでしょうかねえ。興味があるといえば興味がありますが……。 　

　11月4日に「中学生が校舎から転落死」というニュースが出ていたのをご存じでしょうか？僕はたまたま帰宅して、テレビのニュース番組を見ていて、川崎市での中学校で中学1年生が授業中に転落死したという内容のものでした。このニュースをテレビで見た人は、どのように感じられたでしょうか？テレビのニュースでは、中学校の教頭がインタビューに答えている様子が出ていました。録画できなかったので、Yahoo!のニュース動画が調べるとそのニュースが出ていました。便利な世の中ですネ。
　では、そのインタビューにはどのように答えていたのか、動画を貼り付けることができなかったので書き出してみます。

　教頭：「私としても十分配慮がいかなかったのかなあと、反省するばかりで…」

　と、動画配信のニュースではここで教頭のコメントは切れていました。僕が見たニュースではもう少し長めに教頭が話をしていました。僕のうろ覚えで書くことは避けたいと思いますので、ここでは配信されていた動画ニュースを資料として使いたいと思います。新聞の記事では、教頭のコメントが出ておりませんでした。事件の様子を知るためにもここでは以下に記事を掲載しておきます。ネットで出ていた記事をここでは掲載しておきます。

〈中1男子、授業中に転落死＝教室で「鬼ごっこ」−川崎〉
　4日午前9時すぎ、川崎市川崎区藤崎の市立川中島中学校から、男子生徒が4階の教室から転落して頭から出血していると119番があった。生徒は市内の病院に搬送されたが、全身を強く打ち、間もなく死亡した。神奈川県警川崎署が詳しい状況を調べている。
　同署によると、死亡したのは同校1年の男子生徒（12）。1時間目の国語の授業中、校舎南側4階の教室の窓から約12メートル下のコンクリート面に転落した。生徒は転落の直前、友達と4、5人で「鬼ごっこ」をしており、逃げる際に教室後方の机の上に立ち上がり、バランスを崩して背中から転落したとみられる。窓は床から約1．2メートルの高さにあり、開いていた。（時事通信社）

　〈川崎の中学校で授業開始直後、４階から男子生徒転落死〉
　４日午前９時頃、川崎市川崎区の市立川中島中学校で、１年生の浦崎利樹君（１２）が４階教室の窓から約１２メートル下のコンクリートの地面に転落、全身を強打して約２時間後に死亡した。
　同校によると、当時は国語の授業開始直後で、浦崎君は窓の近くの机に乗り、バランスを崩して開いていた窓から転落した。教室内には、担任の教諭とほかの生徒約３０人もいたという。川崎署で詳しい原因を調べている。（読売新聞社）

　〈中１男子、授業中に転落死　神奈川〉
　４日午前９時すぎ、川崎市川崎区藤崎の市立川中島中学校で、校舎４階の窓から１年生の男子生徒（１２）が転落死した。男子生徒は授業前から他の生徒と鬼ごっこをしていて、担任の女性教諭から注意を受けていったん着席したが、授業開始後、再び席を離れ、鬼ごっこを始めたという。高井明校長と市教委幹部が記者会見で明らかにした。
　担任がプリントを配布している間に窓の近くの机に登り転落。担任やほかの生徒は、一瞬の出来事で気がつかなかったという。市教委は「特に問題を起こす子ではなかったと聞いている」と話した。（産経新聞社）

　各社の見出しと記事を掲載しておきました。記事からでもいいたいことは変わらないのですが、動画・記事共に生徒の行動に対して疑問を投げかけるようなことはありませんでした。ある意味では、事実を報道しているという感じも受け止めることもできると思いますが、教頭のコメントでは明らかに学校側に非があり、それを認めたような感じとして受け取ることも可能であり、たいていはそのように受け止めたのではないでしょうか？
　亡くなった生徒には悪いのですが、授業中に鬼ごっこをしていて、誤って転落したことは不幸でありますが、一種自業自得という側面はあると思います。何故、授業中に鬼ごっこをしていたのか？ある人は、こういうかもしれません。「そのときの授業担当者は何をしていたのか？」「ちゃんと注意して辞めさせておけば死ぬことはなかった」と。教師を責めることはいくらでもできるでしょう。しかし、授業中に席に着かずに「鬼ごっこ」をしていた生徒の責任は問われなくていいのでしょうか？授業中にちゃんと生徒が席に着いていれば死ぬことはなかったでしょう。教頭の言う「十分配慮」とは何なのでしょうか？マス・メディアが殺到してきているからとりあえず謝っとかないと、現在の日本ではみんなして集中して責め立てることがはやっているのですから、防衛的処置として謝ったのでしょう。そうでなければ、授業中に生徒が机の上に登るほどの鬼ごっこをするとは想定できなかったし、配慮することなどできなかったでしょう。特に鬼ごっこの性質上、授業担当教師も「あっ!!」という間の出来事であったと思います。ドラマチックに落ちていく生徒の手をつかんで助けることなんてできなかったでしょう。何でもかんでも「管理責任」にして当事者の責任を問わない責任感のある人たちからは僕の言っていることは暴言となるのでしょうが、僕は学校側にどのような配慮をすべきであったのか、ということと謝罪していた点からそんなことは必要ないと思っています。
　むしろ、家庭でどのような躾などをしていたのかを報じるべきでしょう。こんなものは管理責任ではなく、落ちた者の責任を問うべきで、学校側が迷惑をかけられたと僕は思いますが、読者のみなさんはどのように考えられますか？教師や学校を責めれば誰も損はしないからマス・メディアも猛攻撃をかけがちですが、自虐的姿勢の謝罪は必要ないとはっきり言っておきましょう。嘘をつきやすい学校のことですからどこまで事実を言っているのかは吟味する必要がありますが、「授業中に鬼ごっこ」をしていたのは間違いないようですから。 　

　たまたまインターネットを利用しようとYahoo!をあけたら、ニュース欄に「服装、態度で22人不合格＝成績は圏内−神奈川県立高」という見出しが出ていました。どういうことだろうと、のぞいてみると時事通信の配信で、神奈川県内の高校入試で願書を提出しにきた生徒の服装と態度が悪くて入学後の生徒指導に「困難」があると判断して、合格範囲内の成績であったにもかかわらず、不合格にしたという記事でした。まずは、その記事の全文を見て頂きましょう。

　　神奈川県教育委員会は28日、県立神田高校（平塚市）で2004、05、07年度に行われた入学試験で、内申書、学力試験、面接の総合的な成績順位は合格圏内に入っていたのに、願書受け付け時の服装、態度などが悪く入学後の生徒指導が困難と判断した受験者22人を、選考基準に従わず不合格にしていたと発表した。
　県教委は、受験者、保護者の希望があれば入学させることも検討する。
　記者会見で渕野辰雄校長は、「先生方の生徒指導の負担軽減とまじめな子をとっていきたいという思いだけだった。大変申し訳なく思っている」と陳謝した。

　この記事では、校長が「大変申し訳なく思っている」と陳謝したことで結ばれていました。何故、陳謝しなくてはならないのか？この記事が伝えることの本質は一体何なのかを考えたいと思います。 　何故、陳謝しなくてはならないのか？ということですが、これは公務員試験にも通じることですが、本来の目的以外のところで判断を行った点で、問題があったと見ることができます。高校入試において、願書を提出する際の態度や服装、言葉遣いは評価の対象としてはならないでしょう。筆記試験、そして面接がある場合は、その面接において生徒の合否を判断するというものです。内申点も加味されると思いますが…。教員採用試験を経験したことがある人、公務員試験を経験したことがある人ならわかると思いますが、筆記試験でTシャツ・ジーパン姿で試験会場にきている人がいます。これはあくまでも筆記試験であってその際の服装などで試験の結果に反映させないことに基本的にはなっています。筆記試験はあくまでも筆記試験というわけです。では、一般企業での採用はどうかというと、全てが評価の対象となっているケースが少なくありません。ある企業では、試験会場に入るあたりから全ての評価がなされているという報告を聞きました。
　話が就職になってしまいました。話を戻して高校入試に限りましょう。校長が陳謝した内容は、おそらく試験結果としては問題がないが素行に問題があったために不合格にしたことへの陳謝であると思われます。杓子定規な話をすると、確かにこの入試における合否判断の仕方に問題があったと言えるでしょう。でも、今の子供達の姿というか態度を見てもらえたら一概に不合格にしたことに対して批判が行えるかという疑問は抱きます。
　僕は、今小学生を見る機会を与えられています。また、PTAの活動などで学校にいくこともあります。そこで感じることはいつの時代でも問題を抱える子供はいるのですが、僕の目から見てこれはチョットいかんのではないか、と思えることがあります。これは大人社会でもあることですが、規則に違反していなければ何をしてもいい、責任を伴わない自由などがはびこっていて、それに影響を受けた若い世代が模倣している様があります。一つ例に挙げると、何かチョットしたことで相手に対して「死ね!!」「消えろ」「キショ（気持ち悪い？）」などなどを平然といいます。教師はそのことについて何も指導しないのかというと、教師の目が届かないところでそれを言ったりするのです。学校裏サイトでは平然と使われていたような言葉です。
　話を大きくなってしまいました。いいように解釈すると高校ではその点なども不安を抱き、不合格にしたのだと思いますし、願書を提出する態度や服装で公立が不合格にするのはよっぽどのことではなかったかと思います。ただ、そういう生徒を入学させて指導していくのが教育現場であるという意見もあるでしょう。単純に高校がとった判断に対して是非を問うことは難しいと思います。
　むしろ是非よりも、学校側が教職員とはなし合って決めたことである以上、陳謝ではなくもっと自信をもって会見に挑んでほしいというのが僕の意見です。確かに規定上おかしい判断の下し方だったかもしれない、しかし現場の人間も含めて管理職も会議に挑んで抱いた結果であるので何ら文句を言われる筋合いはないと、自信を持てばいいと僕は思います。
　何かを一方的にたたくことを好む日本のマス・メディアこぞって批判するでしょうが…。 　もっと自信を現場では管理職含めて持ってほしいですね。ガチンコ勝負で保護者も含めて話合う、議論すればいいんです。ま、話の通じない親もいますが…。
　教育現場で専横がまかり通るようでは困りますが、ここまで卑屈的な姿勢もどうしたものかと思います。ビシッと言うべき時は言えばいいんです。　　

　我が家でとっている毎日新聞では、学テの公表非公表について大きく取り上げられ、夕刊では大きく１面で取り上げられたりしておりました。あえて言えば、こんなくだらない議論をよくこんな大々的に一面トップに掲げられるぐらいにネタがないのか、政治的に情報が操作されているのかと考えてしまいます。 　公表と非公表と単純に言葉を使っていますが、新聞報道や教育委員会の発表を見ていると公表非公表と単純なことではなく、公表に関しては、部分的公表、この部部に関しては情報を開示するが、この部分に関しては開示しない、開示するにしても詳細には開示しないなど様々です。全く学テに関する情報を開示していない自治体は僕の知る限りないと思います。吹田市も非公表で話題となりましたが、あくまでも橋下知事の要求を100％受けた形ではないだけで、全く非公表にするというわけではありません。そして、議論として公表するか否かの部分に橋下知事が何を要求していているのかという点を見落とすと、先ほど僕が書いたように学テに関する情報を開示していたか否かというような議論に迷い込んでしまいます。数値の公表に関して、試行錯誤しながら開示なのか非開示なのかよくわからならい態度をとっている自治体も存在しています。前にも書きましたが、数値の公表そのものに問題があるのではなく、その数値の使われ方に問題があると思います。しかし、行政が税金を投入して実施したことであり、その結果が数値にしろ言葉による説明にしろ作成されているのであれば、情報公開されるべきではないかとも思います。むしろ僕は、学テのあり方そのものに疑問を投げかけたいですね。 　学テに関して、数値よりも公表してもらいたいことが一つ僕にはあります。実際、橋下知事が望むか否かは関係なく、僕一個人の思いですから…。僕が公表してもらいたいことは、学テがどのような形で実施がされたのかということを公表してほしいですね。そういう報告書のようなものがあればの話ですが…。以前にも書きましたが、大阪府の結果は決していいものではなかったと新聞などは無責任にも発表された情報を鵜呑みにしてかき立てました。しかし、実施のあり方は全国の各自治体ではかなり差があるように思います。 　ある講演会で、ある先生がある地方のような一クラス20人台のところと大阪市内の一クラス約40人で運営されている教室の子供たちを同じ次元で評価するのはどうか、と疑問を投げかけていました。僕もその点には賛同はしますが、それを言い出すと話がややこしくなるのでここでは取り上げません。 　僕が実際に現場にいたとき、子供たちから聞いた話、教員から聞いた話などを聞いていますと実施のあり方に疑問をもたざるを得ません。教員がどのような説明をし、どのような態度や状況で子供たちに学テを受けたのか、子供たちがどれほど真剣に学テを受けていたのか、知りたいところです。こんな内容の報告書を教育委員会が作成しようにも現場の人間が真実を報告するとは思えませんが…。もし、教師が実施前に「テストをするけど、これは成績には全く関係がないので、適当に受けてください」というような内容の話をしていればいい結果がでる可能性は低いでしょう（いい結果という表現は変ですが）。 　あえて言いましょう。橋下知事さん、教育委員会は余り頼りになりませんから、独自に調査をしてみてはいかがでしょうか？その結果次第では、数値の公表云々の議論はあまり意味をなさなくなる可能性がありますよ。